残業代の請求、残業代の計算方法を全力でバックアップ

残業代・残業手当請求実践記3 独力で残業代を奪回したケース

残業代・残業手当請求実践記3 独力で残業代を奪回したケース

こんなごメール相談をいただき、私の拙いアドバイスで独力で解決されたケースです。

読者のあなたのご参考になればと思い、ご紹介させていただきます。なお、ご依頼者の名前は匿名とさせていただきます。

東京都のK様からのご相談です。数回ほどのやり取りとなったので、少し長いのですが読んでみてください。


【受信1回目】
平成23年5月から24年6月まで働いていた会社に残業代を請求したものです。
美容室ですが営業時間が10:00~19:00
出勤時間は9:30からです。
休憩はある時ない時ありまして30分といっても裏で食べたら出てくるといった拘束された休憩です。
これは休憩といえるんでしょうか。


19:00を過ぎることも多く、タイムカードに基づき1日2時間で計算したのですが相手の弁護士からの返信は1時間として認識しておりますというものでした。
請求した65万は32万6千円になると。


タイムカードが1月分しかなく計算は違うかもしれないですが1時間というのはないと思っています。
異議を申し立ててもいいものか悩んでいます。
和解だとこのくらいが妥当なんですか。
相手側も話し合いは応じる様ですがそうした場合タイムカードをすべて提示してもらって計算になるのでしょうか。
相手の弁護士はまだしもできれば本人とは会いたくないです。
返信よろしくおねがいします。


【返信1回目】
K様

行政書士のかぎやまひでゆきです。

無料相談ありがとうございます。


まず、残業とひと口に言いますが、所定労働時間を超えて労働した時間、すなわち1日8時間または週40時間を超えて労働した場合には、すべて時間外労働として割増賃金の対象となります。


この所定労働時間とは、就業規則に定められていなければならないことになります。


ただし、常時10人未満の労働者を使用する使用者には、作成・届出義務がないため、個人経営で少人数の事業所などでは作成していない場合も見受けられます。


したがって、就業規則がない場合には、労働基準法が定めた最低基準が当てはめられることになりますので、先ほどの1日8時間・週40時間を超えた労働時間が時間外労働となります。


また、週40時間をどこで区切るかといいますと、就業規則等で別段の定めがない場合には、日曜に始まり土曜日までが1週間となります。


次に、使用者は労働時間が6時間を超える場合には少なくとも45分、8時間を超える場合には1時間以上の休憩を労働時間の途中に与えなければならないと規定されていますが、この休憩時間とは一斉に与えなければならないとされています。


ただし、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合、同労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定(労使協定といいます)がある場合には一斉付与でなくてもいいことになっています。


さらに、使用者はこの休憩時間を自由に利用させなければならないと規定されていますので、単に作業に従事しないいわゆる手待ち時間は含まず、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間を言います。


したがって、労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより評価されます。


お聞きする範囲内では、バックヤードでさっと食事を摂る程度のようですので、その時間についても休憩ではなく、手待ち時間ではないかと推定されますので、労働時間として計算しても差し支えないと思われます。


会社側には弁護士が付いているようですので、却って好都合かもしれません。


Kさんが請求された割増賃金の根拠となる労働時間を計算されたものを持って、会社側弁護士と話し合いを持つ機会を作られたらいいのではないかと思います。


事前に日時等を決めて話をしたい旨を連絡する際に、1日の時間外労働の認識に差があるからすべてのタイムカードの写しを用意するように要求してください。


これは、過去2年間にさかのぼって請求が可能ですから、注意を要するところです。


さらに、


1.時間外労働に関する労使協定(通称三六協定(サブロクきょうていといいます)をご覧になったことがないと思われますので、その最新の写しも用意してもらってください。


この労使協定の有効期間は3年間です。


もし、これがなくて時間外労働をさせている場合には労働者の人数とは関係なく、法36条違反となります。


2.休憩時間を一斉付与の原則から除外する旨の労使協定も用意してもらってください。


それから、使用者とは会いたくないので同席させないように伝えられていいと思います。


その際に、前記のように9時30分から労働開始していること、休憩時間が労働時間だと認識しているといったことを主張してください。


ただし、注意すべきは、弁護士という職業は正義の味方ではなく、「お金を払ってくれる人の味方」しかしないということを忘れないでください。


ですから、依頼者の都合の悪いことは敢えて言わないことも考えられるので、その場で結論を出すのは絶対に避けて、一旦持ち帰ってから判断されるといいでしょう。


以上ですが、ご参考になれば幸いです。


さらに続きがありました。


【受信2回目】


先日残業代の件でご相談させていただいたKと申します。


とても丁寧な回答ありがとうございます。


弁護士は勤務していた時は聞いたことない方なので急遽雇っているのだと思います。


度々なんですがもしタイムカードを改ざんされていたらどうすればいいですか。


労使協定についても退職してから知りましたし、会社には確実にないので弁護士の方が急遽作らせたりしないか心配です。


実際にあとで証拠を残さないために営業時間終了時でタイムカードを押させる会社で勤務している友人も居ますし。


後日弁護士の方と話し合ってタイムカードは持って帰りもう一度計算しようとは思います。


あまり法律家の方と接する機会もなく、疎くて申し訳ないんですが話し合いの約束も書面でするものですか。
番号が書いてあるのでできたら電話したいのですが。

【返信2回目】
K様

行政書士のかぎやまひでゆきです。


1人で、相手方(つまり会社側ですが、こういう表現をします。)代理人弁護士と話をしたり、交渉をするのは大変でしょうが、途中で心が折れないようになさってください。


1.相手方がタイムカードを改ざんすることは十分考えられますが、ご自分でメモ等を残しておられれば、労働審判や裁判となった場合でも心配する必要はありません。


なぜなら、労働者の正確な労働時間の把握は相手側に課せられた義務ですので、これに違反した場合などは罰則もありますし、実際の裁判でも社員さんが残したメモを採用した判例(裁判における確定した判決のことで、裁判官が判断の基準としているものです。)がいくつもあります。


2.三六協定は、「労働者の過半数の意見を代表する者と締結し、かつ、所轄労働基準監督署に届け出」をしないと効力を持ちません。


それには、必ず受理された年月日の入ったゴム印が押されます。


したがって、後から作ることは構わないのですが、さかのぼって適用されることもありません。


また、Kさんが請求された金額から察しますに、弁護士報酬との兼ね合いで全額受け取っても62万円ですよね。


弁護士も商売ですから自分の首をかけてまでの違法行為を指示することは考えにくいと思います。


それから、ご友人にご忠告されるといいと思いますが、タイムカードを定時で押させる会社の場合でも、「面従腹背」で、自分で出勤時刻、退社時刻を毎日手帳なりに記録しておくことをお勧めしております。


これは、やはり労働審判や裁判となった場合でも十分証拠能力を持ちえます。


それと、外部の取引先に時間外にメールを送信しただとか発注した、Kさんと同じご職業だったならば、ご自分のお得意さんがたとえば6時半に来られて8時まで仕事をしただとかといったことも有力なものとなります。


つまり、タイムカードの「信ぴょう性」を疑わせるに十分な状況証拠を用意しておけば負けることはありません!


さらに、厚生労働省に通報(言葉では「情報提供制度」と表現していますが、要するに密告です!)しておき、その文面に日時が分かるようにして残しておくと証拠として提出が可能です。


私が以前書いたブログを参考になさってください。
サービス残業代を取り返せ その34 違反通報制度?



要するに、労働審判・労働裁判においては「弱い立場」の労働者に対して、かなり「ひいき目」で見てくれますから、安心してください。


金額が請求の100%になるかどうかは別としても、負けること(全額却下)はあり得ませんので。


もうひとつ、弁護士と話をする場合、「聞き間違いがあるといけないので、記録させていただきます」と宣言して、ノートを広げ、実はこっそり録音することも「裏ワザ」としてあります。


この裏ワザはコワモテのお兄さんが出てきて、脅しめいたことを言われる可能性があるなど場合ですが。(笑)


最後に、アポイントは電話で構いませんが、弁護士も時間単位で仕事をしている方々ですから、お互いの都合のいい日時を決められたらいいと思います。


弁護士としては、受託した報酬が少額だと思われます。そうすると、1回こっきりの話し合いで終わらせたいはずですから、
「和解協議書」といった文書を用意している可能性があります。


ですから、納得がいかなかったら絶対に署名・捺印などなさいませんように。


頑張ってください。

【受信3回目】
先日残業代のことで相談しましたKと申します。


相手側の弁護士さんと直接話し合った結果最低賃金についてはこちらの計算式に不備があったため相手側に払う必要はなく特に問題はありませんでした。


残業代に関してはタイムカードを持っている旨を伝えたところ弁護士さんがかなり説得してくれた様で全額50万、早期解決で一括で支払いただきました。


残業代が全く支払われなく、誰も異議を言わない美容室という職場でこちらは働いていただけで損をしているのに何故か後ろめたさはありましたが、行動を起こせば変わるんだと今回強く実感しました。


知恵を貸して頂きとても感謝しています。ありがとうございました。

【返信3回目】
K様

行政書士のかぎやまひでゆきです。


わざわざ、お礼のメールをいただきありがとうございます。


私の拙い、アドバイスがお役に立ててうれしく思います。


正当に支払われたお金ですが、天から授かったものだとして、Kさんの将来のため、前向きなことにお使いなされることを切に願います。


私も、現在手掛けている事件では、つい一昨日300万円ほどの請求を、労働審判手続申立てをしてまいりました。


もし、お差支えなければ当事務所サイトでご紹介させていただきたいと考えておりますので、ご承諾をいただけるようでしたらご一報いただけましたら幸いです。


K様の今後のご活躍を願ってやみません。


ありがとうございました。


【受信4回目】
勿論匿名だと思いますが、美容室のブラックの温床を少しでも改善できればと思いますので構わないです。


今回の職場の雇われ店長も言っていたんですがせっかく専門学校に行って就職して毎日練習してもオーナーが社員に還元しないからいつまでも給料は上がらない、スタイリストになっても給料が低いから夢がなくなって90%近くが5年で転職するのが実態です。


売上100万で手取り40万近く支給など求人で見ますが有名店でもその売上はほとんどいません。結局払う気ない前提で歩合がほとんど付かないようにオーナーが儲かるようになっているんですよね。


実際200万近く売上げてても50万貰ってる美容師は見たことないですが。


もっと監査などが入って正当な賃金を貰えるような会社が増えていってほしいです。はっきり言って違法な店は潰れてもしょうがないと思うので。


普通の会社なら有り得ないんですけどね。


長くなりましたがありがとうございました。私も少しでもよくなるように頑張ります。

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